KNOWLEDGE OF PERSONNEL AND LABOR

人事・労務の知識

人事のブレーン社会保険労務士レポート第151号
平成28年 雇用保険法改正について

1.はじめに

高齢化社会といわれて久しいですが、65歳以降も元気な方が多く、現役として働いているケースが多くなりました。
一方で雇用保険法では、満65歳以降に新たに職業に就いた者について雇用保険の被保険者となることが出来ませんでした。
今回の改正で、満65歳以降に新たに職業に就いた場合でも雇用保険に加入させなければならないと改正されました。

2.満65歳以降に新たに職業に就いた場合の取り扱い

(1)平成29年1月1日以降に新たに職業に就いた満65歳以上の者の取り扱い

改正法の施行日である平成29年1月1日以降に新たに職業に就いた満65 歳以上の労働者について、雇用保険の加入義務が生じ、ハローワークに雇用保険の資格取得届を提出する必要があります。
高年齢被保険者」という種類の被保険者として雇用保険に加入することになります。(2)平成28年12月31日以前から継続して就業している満65歳以上の者の取り扱い

この労働者は以下の2通りに分かれると思います。

第一は、現行法において既に満65歳以降に新たに職業に従事した労働者であり、雇用保険に加入していない労動者。
この労働者は、施行日である平成29年1月1日以降に新たに雇用保険の被保険者となり、恐らく資格取得届の提出が必要になるでしょう。

第二は、現行法において高年齢継続被保険者と呼ばれている被保険者です。
満65歳以前から被保険者として雇用保険に加入しており、満65歳以降も 「高年齢継続被保険者」として保険料の免除対象者として給付を受ける権利を有していた被保険者です。
この高年齢雇用継続被保険者は、施行日以降に高年齢被保険者に統合されます。

3. 保険料の取り扱い

施行日以降に加入義務が生じる被保険者は、加入した月から保険料が発生します。
しかし、今まで保険料の免除対象者であった、高年齢継続被保険者の取り扱いはどのようになるのでしょうか。

現行法では、毎年4月1日現在において満64歳以上の労働者は雇用保険料が免除されています。
平成29年1月1日以降にこの高年齢継続被保険者からも保険料を徴収すると企業のコストが増えてしまいます。
ですから、雇用保険の免除措置の廃止は平成32年4月1日以降になります。
平成32年4月1日以降に満64歳以上になる労働者については免除措置の対象になりません。
現在高年齢継続被保険者についても、恐らく保険料徴収の対象者となることが予想されます。
平成32年4月1日以降の話なので、詳細については施行日間近に検討する必要があります。

4. 高年齢求職者給付金

被保険者資格については以上の通りです。
では、その被保険者期間に対してどのような給付体系になっているのでしょうか。
受給資格が発生するのは、離職日以前1年間のうち、被保険者期間が6ヶ月以上あれば受給資格が発生します。

基本手当の額は離職理由に関係なく、被保険者期間が1年未満は30日、1年以上は50日となっています。
また、常用就職支度手当、移転費、求職活動支援費及び教育訓練給付金(高年齢被保険者でなくなった日から1年以内に訓練を開始する者も支給対象者に含む)も支給されますので、ご確認ください。

5. まとめ

保険料の実務は平成32年4月1日以降なので、若干変更がある可能性があります。
しかし、被保険者資格関係については平成29年1月1日以降になりますので、準備が必要です。
近くなりましたら、ブログかメルマガどちらかにてお知らせいたしますので、ご参考にしてください。

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