経営者が知らない人材不足解消法 (経営者新書)
最新刊リリース:インタビューNo.1
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経営者が知らない人材不足解消法 (経営者新書)
今回の新刊本の出版のきっかけはなんですか?
山本:法律的なアプローチで経営者の悩みを解決していても、本質的な悩みは解決しません。社会保険労務士試験に合格して20年。社会保険労務士になった頃は資格に対する知名度も低く「社会保険労務士って何をする仕事?」という質問をよくされました。一方で、社会保険労務士の専門分野である「人事」や「社会保険」といった分野は「守れないのは法律が悪い」といった風潮がまだ強かった時代です。
しかし、私は「税金が払えて何で社会保険料が払えないのであろうか。なぜ残業手当が払えないのであろうか」という疑問を持ち当時からその原因を探ってきました。多くの企業経営者の皆様と議論するうちに、残業手当が払えない、社会保険料が払えないのはそれに対する「予算化」がされていないためだという結論に至りました。予算化さえされれば支払えるようになるということがわかりました。
賃金額の設定や内訳の設定によりこれらの問題の多くは解決できるので20年間このことに積極的に取り組みました。 いわゆる定額残業手当の導入など法律的な話です。この詳細は拙著「社長!残業手当の悩みはこれで解決」に詳しく書いてあるのでご覧ください。しかし法律的なアプローチで経営者の悩みを解決していても本質的な悩みは解決しないと思うようになりました。どの様なことに気づいたのですか?
山本:残業手当や社会保険の問題が解決してもそれはあくまで仕組みであり、人間は仕組みで動きません。人間である労働者にしっかり働いてもらうためにはどうしたらいいのか。こういった悩みを抱えている経営者の方が多くいらっしゃり、この問題を解決しなければ社会保険労務士としての職責を果たせないと思ったのです。具体的にはどのような悩みなのでしょうか?
山本:「募集を出しても応募が来ない」「せっかく採用してもすぐに辞めてしまう」といった悩みです。そして悩みの質も変わってきているなと感じました。経営者の方は多くの悩みを抱えていらしゃると思いますが、どのように変わってきたのでしょうか?
山本:「問題社員」ではなく「普通の社員」とどのように向き合ったらいいのか。社員を募集してすぐに集まった時代は「問題社員とどう向き合うか」ということが課題でした。社員は集まるのですから能力のある社員だけを採用することができました。その中で、組織に馴染めない「問題社員」をどのようにしていくのかという悩みを解決していれば社会保険労務士として経営者の方々の信頼を得られていました。しかし、人材が集まらない現在ではそもそも面接で吟味できません。募集自体が少ないのに働き方改革を含めて残業時間の抑制という法規制があり人材不足に拍車がかかっています。この人材不足に悩む経営者の皆様はひと昔前のように「問題社員」ではなく「普通の社員」とどのように向き合ったらいいのかを悩んでいると思います。どのように「普通の社員」と向き合えばいいのかを解決しなければ社会保険労務士として一人前の仕事とは言えないと思います。普通の社員との向き合い方を見直すことで人材不足が解決するということなのですか?
山本:一方的なコミュニケーションでは解決できる問題ではなく、仕組みを作ったり、マニュアル的なものを作ったりしても意味がありません。「普通の社員」とどの様に向き合い社員の定着率を上げていくのかを考えていかなければなりません。人に教えるということは非常に大変な作業です。人材の定着率を上げることにより新入社員教育の負担が減り、組織の業務が減ります。 結果として気持ちに余裕ができて定着率の向上に繋がり人材不足解消へといくのです。人材に関する書籍は多いと思いますが今回出版した書籍とほかの書籍の違いはなんでしょう?
山本:理想論は一切書いてありませんし、仕組みやマニュアル的なことも書いてありません。今まで20年以上社会保険労務士として経営者の方や管理職の方とお話ししてきた経験や何より私自身が20名以上の職員を率いる経営者としての経験というか反省点を踏まえて執筆しました。私の経営者としての自戒の念を綴った書籍とも言えます(笑)書籍をどの様に活用してもらいたいと思いますか?
山本:まず経営者や管理職の皆様が意識をどう変えるのか。 ここがポイントです。 そして一人で悩むのではなく社会保険労務士に相談してほしいと思います。社会保険労務士の在り方も変わってくるんでしょうか?
山本:人事の悩みとは「法律」と「人間関係」です。税理士は税法のプロですが、企業の資金繰りの相談にも応えられなければ役割は果たせません。社会保険労務士も労働法や社会保険各法の専門家であり、社員との向き合い方のプロにならなければなりません。 人事の悩みとは「法律」と「人間関係」です。 人間関係の悩みを解決するプロにならなければなりません。これは経験によるところが多いので、弁護士でいう「ボス弁」「イソ弁」といった関係で研修できる環境を作り「法律」と「経営」と「人間関係」といった経験を積んでいき一人前の社会保険労務士になるということを目指さなければならないとおもいます。 ぜひお手に取ってみてください。